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「水の沸騰」実験

土曜日に授業参観があった。
平日だと参加できない保護者のために、土曜日に開催するのである。

四年生になってから春以来、二回目の授業参観への参加であった。
科目は事前に「理科」と聞いていたが、
その日は「教室」ではなく「理科室」で行われた。


小学校の理科室はわたしが思っていたような雰囲気とは異なっていて、
人体模型もなければ、暗くておどろおどろしい感じもない、
整然とした教室であった。


実験は「水の沸騰」だった。


六つの班に分けられたグループがそれぞれ、
先生に頼らず実験道具をそろえ、正しく設置し、
水が沸騰する様子を観察する。


丸底フラスコに入れられた水。

アルコールランプで火をつけ、温度計をつかって温度上昇を見る。

水なんて、毎日鍋で沸かすくらい日常的な、
特別なことでもなんでもないけれど、
フラスコに入れられた水は何だか、特別な液体のように見えてしまう。


こども達も、準備のときはそのいつもとは違う感じに、
ワクワクしているようだった。
うしろからでもはっきりと、その感じは伝わってきた。


若い男性の担任教師は、危険のある実験という授業を、
あえて親のいる授業参観で実施することで、逆に安全性が高まると考えたらしい。
親達に
「近くまで来てこどもたちがちゃんと正しく実験器具を使っているかどうか指摘してください」
と言うので、わたしはソウタのいる班の所へ近づいて行ってそれを確認してみた。
だが、いまいちわからない…(オイ)

実験台と木の椅子は何だかとても懐かしくて、いつまでもそこに座っていたいような、
自らが授業を受けているかのように錯覚を感じる。
それくらい、わたしはその空間に溶け込みつつあったのだ。

実験は遊びのように進行した。
まず、アルコールランプに火を灯し、
ストップウォッチで時間を測定し、五分後、十分後…と温度計を見る。
そして記録係が記録をつける。


しばらくすると
「うちらもう80度まで行ったぜ~」とか
「こっちなんか90度だぜー」とか
「お前の所、何度まで行った?」とか
「えー何でおれのとこ、おそいんだろ…」とか
「すげー泡だってる!!」とかもう大騒ぎである。

そんな『早く100度に達した方が勝ちとか』そういうゲームじゃないから!
そんなに残念そうにがっかりする必要ないから!




ソウタの班の水はゆるやかに、それはかなりの時間をかけてゆっくりと温度上昇した。

私は記録係の女の子に
「何度で泡がでてきたか、書いておいた方がいいよ」と言ってみたが
「書きません!」と即答された。
そんなにぴしゃりといわなくとも。。。


女の子はもう四年生になると、かなりの「女っぷり」である。
身長も高い子は150センチくらいあるのではなかろうか。
同じクラスの男子と比べたらえらい違いである。
男子はお子様に見えてしまうほどの差があるのである。


そんな大騒ぎの中でも、
ちゃんと観察している生徒はいるのである。

実験が終わった後、担任教師はそれぞれの班の代表に観察結果を発表をさせた。
そして、それぞれの結果を黒板に書きとめることになった。

中には「五分くらいたったら、油みたいなものが出てきました」とか、
「泡が出ませんでした」とか
先生が困ってしまうような結果もいろいろと出てきたのだが

(先生はこれを一体どうやってまとめるのだろう…)
と私は楽しみにしていた。

すると、ある班の結果が最もスタンダードな結果であったことを説明し、
それぞれの班に
「泡」「水滴」「沸騰」「温度上昇」「水の高さ」など
いくつかのキーワードを使って最終的なまとめの文章を作成をさせるという
方法を取ったのだった。


ソウタの班は沸騰したかしないかわからないくらいの緩やかな変化しか起こらなかったが
班の代表として立ち上がった秀才の男の子は、スタンダードな答えにまどわされることなく
『見たもの』、『観察したもの』“だけ”を班のまとめとして発言したのである。

よくやった。

わたしはそう、心の中で彼をほめたのであった。


科学とは事実を見るものだ。
理論に合うように事実を曲げてはいけない。
問題はなぜ他の班と結果が変わってしまったのか、
という疑問をもち、考えることだ!



「水の沸騰実験」は、そうやって幕を閉じたのであった。


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