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小湊鉄道

電車に揺られゆっくりと流れる景色を眺めながら、
窓から入ってきた風をうけ、思いめぐらす。
景色に飽きあたら本を読み、ふと顔をあげれば美しい自然が広がっている、、みたいな
旅の想像を膨らませ、できるだけ近い場所から行ける遠いところを探していたら
千葉県市原市の小湊鉄道に行きあたった。

鉄子、鉄男さんたちに人気の電車ということもあって期待を膨らませ
五井駅に到着。
強すぎる太陽の光がギラギラと照り返し汗が噴き出すような天気だった。

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この鉄道は海沿いの駅から出発して房総半島の中心部へと向かうような路線。
五井駅に着いた時には、あと十分後に電車が出発してしまうような状況。
これを逃したら、次は一時間半後。
慌てふためいて切符を購入して車両に乗り込んだら、お昼を完全に食べ損ねた。

電車は座席に人が座って埋まるくらいの混雑で、
ひたすら田園風景の中を走っていくのだ。

PO20110719_0019_013.jpg

養老渓谷駅で下車してホームから二両の電車を見送った。
いたるところで車両をカメラで撮影している人がいる。
シャッターを切る。いい写真が撮れた。
パパは首をかしげながらボソリとつぶやく「ただのふつうの電車だと思うんだけど」
「黙れ田舎者」
飯山線を日常で乗っていた奴にこの魅力はわからないらしい。

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駅から歩くとすぐにこんな絵にかいたような田園風景。
田んぼの緑が青々していて、眩しい。
風が吹き抜けると、さわさわと葉が縦横無尽に揺れ、
水路を流れる水の音を聞いているだけで、涼しくなれた。

しかし暑い。

地図もなにも持って出てこなかったせいで
iphone片手に迷いに迷って誰かの家の畑の周りをぐるぐる回って
ようやく辿りついたのは、観音橋。

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アルファベットのMを描いたような形になっており、
へこんだ部分に降りていく時はちょっとこわい。
橋の下では川辺でバーベキューやらキャンプをしている人がたくさんいて賑わっていた。

橋を渡ると、急な石段が山の斜面を登るように続いており、
トンネルに行きあたる。
トンネルの入り口では、一寸先が見えない。
トンネルが曲がりくねっている上、斜めに登るような傾斜になっているのだ。
足元は濡れていて滑りやすい。
突然現れたトンネルに人は戸惑う。
ここをくぐったらきっと違う世界に出ていることだろう。
トンネルは意外に短かった。
再び石段を登らされ、ひたすら膝を酷使していくと、
黄金に輝く、出世観音菩薩様がお出迎えしてくれるのだ。

PO20110719_0041_013.jpg

逆光になった光が菩薩を照らしているような写真になってしまった。
ここは養老山立國寺で、源頼朝公が再起をかけ祈願したといわれているらしい。
わたしの出世もよろしくおねがいしますっ。

ここからはバスに乗って、粟又の滝に向かう。
滝の入り口まで来たらそこから渓谷へ降りる。
降りてびっくりした。浅瀬で水遊びをしてはしゃぐ子どもたちにその親たち。
一時、暑さを忘れる光景。
息をのむ。

PO20110719_0061__013.jpg

谷を囲むように茂っている山の木々の姿に感動した。
これが紅葉だったら、どんなに美しいかを、想像するだけでも鳥肌が立つ。
写真までもが奇跡を起こした。
水面に映った青い空と白い雲が明瞭すぎて、写真を逆さまにしても
本物の空を見ているようだ。
(写真をクリックすると逆になるよ)

この青い葉が赤くなる頃にもう一度、同じ景色を見たい。
きっと筆をとって絵の具を塗りたくなる。
そんな自然のマジックをみせてくれるに違いない。

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谷のあちこちから水が噴き出していて小さな滝になっている。
滝をじっとみつめて、水音に耳をそばだてみれば、
己もその流れに身を任せて川を下り、青い空の下をゆらゆらと流れていくようだ。

PO20110719_0069_013.jpg

浅瀬では水辺の生き物がいっぱい。
魚が飛び跳ねていた。
颯太の好奇心をくすぐったのか、ゆっくりと水に手を入れひとつかみ。


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「十字路と絵本」

「十字路と絵本」というタイトルにある十字路というのは、
アメリカのミュージシャンであるロバート・ジョンソンの伝説、
「十字路で悪魔に魂を売り渡して引き換えにテクニックを身につけた」
という逸話がモチーフである。

月と太陽が浮かぶ絵本が開かれたような舞台セットに十字路の照明。

「願いごと」を叶えてもらうためにやってくる一人の若い女性。
女性の「願い」は曖昧で、十字路に来てなお何を叶えてもらうかを悩んでいる。
すると、謎の女(悪魔)がふらりと現れ、
「願いごとをかなえる代わりに大切なものをもらう」という。
若い女性は恐怖と好奇心の混ざり合った感情の中、
悪魔と契約した女の話(絵本)を聞くのだ。

こうやって三つの異なる物語が演じられる。

「嘘と踊るソナタ」「幸せな日々」「彼女から遠く離れて」
三つの物語の共通点は、
女性が“大切なもの”の代わりに願いごとをかなえてもらうという。

一話目は「バイオリン」の代わりに「お金」を、
二話目は「ハートの10」の代わりに「夫がいなかったことに」、
三話目は「日記」の代わりに「子供たちの幸せ」を
手に入れようとするのだ。

ひとつの話が終わり、節目節目に若い女は考える。
物語の意味を。彼女が何を選択したのか、どんな願いをかなえようとしたのか。
解説しているけれども、お客さんはどう考えたのだろうか。


一話目は、売れていないバイオリニスであるコトネと
女優志望の自由奔放なレイナの物語。

ふたりは、性格こそ正反対だが、姉妹のように仲の良い友達だった。
コトネはレイナのことなら、なんでもよくわかっていた。
彼女が男好きであることも、金遣いが荒いことも。
それでも、コトネは自由奔放で自分にはないものを持っているレイナに憧れていた。
だからこそずっとレイナの陰であり続けてきたのだ。

男の出現でふたりの関係は微妙に変わり始める。
レイナは男に好かれようとし、コトネはそれを止めようとする。
コトネはレイナと一緒にいたいのであって、男は邪魔者なのだ。
だけど、男はコトネをも誘惑する。
男は琴音にヴァイオリンソナタである
「クロイツェル」(ピアノとヴァイオリンが対等に旋律を奏でる曲)
をソロで弾かせることによって、
励ましと勇気と自信を与えるのだ。

コトネはレイナの金魚のフンではなく、
本来コトネが持っているけれども出せなかった自立した女の部分に気がつくのだ。
だから、最後にコトネは一人で部屋を出ていく。
レイナからもらった大切なバイオリンを置いたまま、
隠してあったお金を手に、新たな一歩を踏み出すのだ。


二話目は、夫婦の話。
妻は、夫との結婚を悔やんでいた。
なぜ自分はこんな男と結婚したのだろうかと。
そしてふと思う。「夫に消えてほしい」
最初からいなかったみたいに、ふっと消えてしまえばいいのにと思うのだった。

旦那は、あまりいい男としては描かれない。
口がくさい、食べ方が下品、音痴、ケチくさいなど、嫌な所をあげたらきりがない。
それを妻は嫌だなと思いつつも、結婚生活を全うしている。
そして彼女がいつも話しかけているピエロの人形に愚痴をこぼしていたのだ。
すると、ある日、不思議な郵便が届く。
一本のナイフ。
不思議に思いつつも、そのナイフを受け取る妻。
そして、いつの間にかピエロの人形は本物のピエロへと変化して
妻に夫への殺人を誘惑するようになるのだった。
慌てふためく女。
本当に殺したいわけじゃない。
夫は愛情深いトランプのカードはハートの10だと言って、
彼女にプレゼントする。
女は契約を取消したいと思う。
だが、無情にもその契約は取り消すことができず、
夫は死んでしまう。
「ハートの10のカード」の代わりに、夫は消えてなくなったのだ。

願い事の代わりに失った「バイオリン」と「ハートの10」は、
単なる“もの”ではなく、バイオリンは「レイナとの友情」、
ハートの10は「夫からの愛情」であることがわかる。けれど、
解説する若い女はそこまでは説明しない。


そして三話。
「彼女から遠く離れて」は親子の話。

痴呆となった母の世話を苦痛に感じていたメグミは、
母を施設に入れることにしたが、
兄のマコトが久しぶりに様子をみにくる。

母はかつて仕事をしながら、
一人でメグミとマコトを育てあげ、
過去の苦しみが、現在という時間の中に蘇ってくる。
子供に八つ当たりするような母をメグミは恨んでいて、
彼女にとって兄もまた、素直にはなれない存在だった。

そこへ母の家の片づけをした業者が、
一箱の段ボールを持ってくる。
中には母が書いた日記帳が入っていた。

母の喜びと苦しみ。
ふたりはそれを読みながら、少年少女時代を思い出す。
母の愛情を知ったふたりは、彼女を抱きしめる。
目の前のヒマワリと、
少年少女だった頃に見たヒマワリを想い浮かべながら。
母もまたメグミとマコトを抱きしめて。


三話で悪魔と契約したのはお母さんで、
お母さんは「日記」(=自分の記憶)の代わりに
子供たちの幸せを願ったのでした。

二話では笑いが起き、
三話では皆涙を流して感動していた。


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舞台セット構築見学

「十字路と絵本」の公演会場である
阿佐ヶ谷のシアターシャインに公演の始まる直前の日に
舞台装置を構築する現場をお邪魔した。

PO20110629_0039_013.jpg

舞台監督のサマーソルトひであきこと田口和さんは、
役者でティラミス田仲としても出演している多彩な人。
「一から造るところ見たらきっと参考になるから」
と好意で声をかけてくれたおかげで、私はその現場を目のあたりにすることができたのだ。
でも勢いよく「手伝います!」
と言っていた割には、運び仕事の手伝いもままならぬ状態で
カメラを持ってうろうろするばかりだった。

PO20110629_0000_013.jpg

会場選びは、天井が高いところを探したと
以前松下さんが言っていた。
ビルの二階に上がると、三階まで吹き抜けになった天井があって
確かに高い。
三階部分のベランダのように突き出した場所から真下を覗くとこんな感じ。

PO20110629_0010_013.jpg

中央は窓枠がある一枚の大きな壁。
それから、出入り口を兼ねた左右の扉。
絵本を開いたような形にすると言っていた全体像が見えてきた。

ここでお手伝いしているのは、
舞台監督、舞台美術、舞台美術助手の三人だけではない。
役者の男性陣も自ら釘打ちやノコギリを手に舞台構築に関わっていて、
私はただただ見ているしかなかったのだ。
なぜそんな普通にノコギリとか使えるの!?と不思議だった。

PO20110629_0037_013.jpg

これは舞台中央に斜めにはみだすように置かれた絵本の中身。
上に描かれている絵は舞台美術の斎藤さんが描かれたそうで、
絶賛の声。
絵を描く仕事はこんなところにもあるのだと実感した瞬間だった。

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これは中央の壁の裏側。
一段高くなっていて、
人一人が通るのに精一杯の幅。
ここで役者さんたちは演じることもあったのです。

PO20110629_0042_013.jpg

舞台上から反対側を見ると、
観客席と三階の音響部屋が見える。
収容人数は60名ということだったけど、
私は60名入るかな、と心配だった。
何しろ、もうこの時には金曜の昼以外全部の回で売り切れ、
それどころか60越え、キャンセル待ちの状況だったからだ。

PO20110629_0021_013.jpg

美術さんが作成した太陽と月をとりつけて、
ある程度完成。
照明を落として雰囲気を出したところでシャッターを切る。
朝から始まった準備は、もうこの頃には夕方の五時を回っていた。
最終的には中央の壁に岩のごつごつした感じを出した
表面を覆うようなものをつけたり、少し古めかしい感じを出すための
施しをしたりして、完成された。

舞台上では、絵本から飛び出したような衣装をまとい、
左右異なるメイクをした役者さん達が踊るように
最後の体力を振り絞って舞台に上がった。

演出の松下さんが冬にイメージしていたものが、
目の前に本物の「現実」として現れたのでした。

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